《宇陀千軒》の東側には低い山が迫っている。
町並みを少しそれて、山側に階段を上がっていくと
神楽岡神社がある。
そこには、周囲が4人で手をつないだくらいの大きさの杉の木がある。
眼下に大宇陀の町が広がっている。
そこに、ぽつんと万葉歌碑があった。
万葉仮名というのか、漢字ばかりでどんな歌だかわからない。
冒頭は《真草刈》という字らしいから《まぐさかる》と読むのだろうか。
途中で《君之形見》とあるが、これは《きみのかたみ》ということだろう。
読めたのはここまで。
説明文が欲しい。
しかし、説明看板が周囲の情景にふさわしいという例は稀有である。
ペンキのはげかかった説明板など、雰囲気のぶち壊しになる。
見て(読んで)わかる者だけがわかればよいという、
説明はしないのだという、そんな突き放し方も悪くはない。
家に帰って、犬養孝先生の「万葉の旅(上)」に載っていた。
《ま草刈る 荒れ野にはあれど 黄場(もみじば)の
すぎにし君が かたみとぞ来し》と読むようだ。
どんな意味かって?
まぁ、君、自分の頭で考えてみたまえ。
さて、あなたはどれだけ読めますか?
山の上なので、大宇陀の町の一画が見え、景色がよい。
そこにポンと置かれている感じ。