つりふね草の咲いていた坂から10分ほど歩いたところに
《あれはなんだ?》と思うようなものがあった。
道路端から田んぼらしき空き地に突き出して
石が10個ほど並んでいる。
大きさも違えば、形もまちまちだ。
自然石もあれば、加工されて重ねられているものもある。
縦長の長方形に加工された石に屋根がのせられている。
そんなのが3つあるのもみれば、お墓のようだ。
そうだとすれば、一緒にある他のものもお墓だろう。
手前の道路が拡幅され、舗装された際、
地中から掘り出されたものか、
あるいは道端に点在していたものを
ここに一か所に集めたものだろう。
かなり昔の、それも無縁の人のものではなかろうか。
勝手な空想をしてみれば、
屋根のあるのは武士、
自然石は行き倒れた乞食や遊女、
一番小さい石は飢饉でなくなった子ども。
下の方は苔むしているが、
さてどれくらいの昔のものだろうか。
手前に桜の木が植えられている。
秋の夕暮れで、斜めの光が柔らかくさしている。