急な登りを苦しみながら通過した後、
やっと前方になだらかな坂が見えた。
その短い坂を登りきったところが
下蒜山の山頂1100メートルであった。
苦しい登りから解放された安堵感、
目標に着いたという達成感。
そのまま心のうちにしまいこむには
少し情感の量が多かった。
すぐ後を歩いていた長男に
《山頂や!》と声を掛けた。
次々と登山者が登ってくる。
私たちが途中で追い抜いたおばさん3人組も
相次いで到着した。
一人目は《着いた!》と言い、
次の二人目も同じく《着いた!》と言い、
少しおくれて最後の人は《着いた、着いた!!》と繰り返した。
この人たちも感情を仕舞い込んでおくことができずに、
言葉に出して言うタイプらしい。
それにしてもなんとも息の合った3人組ではなかろうか。