下蒜山の山頂でぐるっと見渡したら、白い山が眼に入った。
方角は西北、手前には5層ほどの山脈があり、
その向こうにひときわ大きい山が大山(だいせん)だ。
中国地方で最も高く、頂上の弥山で標高1709メートルもある。
その山肌が白く見えた。
最初に一瞬は、雪かと思ったが、質感が違う。
しかも、真夏を経過したこの秋の時期に
大山程度の山で残雪などあるわけがない。
そうすると、あれは大山の地肌の色であろうか。
山は近くで見ると樹木で綠色に見える。
少し、距離が遠くなると、青く見える。
昔、終戦直後の映画で《青い山脈》というのがあった。
(ある程度の年齢の人なら、
「若く明るい歌声に 雪崩も消える・・」、
なんて歌詞の歌も憶えておられるかもしれない。)
あれは遠くの山が青くみえるからの表現である。
写真でもわかるように、
大山の手前の幾層にも重なった山脈は全て《青い山脈》である。
しかし、この山頂からの大山は白かった。
昨年の夏、広島県の吾妻山(あずまやま:標高1239m)に登ったとき、はるか遠くに大山が見えていた。
そのときは、はるか遠くに見え、青くかすんでいた。
40年程前だが、大山に登ったことがある。
下山途中に見た谷の向こうの崖が崩壊し、
険しくそぎ落とされていた。
溶岩の剥き出しで荒々しく、
黄色や黒、赤褐色が層になって重なり合っていた。
まるで、山の内臓をみたようだと思った。
大山では、今も激しく、岩が崩壊していると聞く。
来年は大山に行き、その山肌が果たして何色か、
もう一度、この目で確かめてくるとしよう。