犬に追い抜かれながらも、
中蒜山に向かう尾根道を歩いていった。
次第に道は登りになり、やがて、鎖場になった。
既に下蒜山に上る際に、散々、苦労をし、疲労をしている。
《又かいな‥》ということでしんどい登りだった。
いつまでたっても鎖場が続くので、
途中で少しの空間を見つけ、一休みした。
腰を下ろしていた横を、後から来た人が通り過ぎて行った。
その際、《この鎖場はまだ続くんですかね》と問いかけてきた。
《もうすぐ終わるんじゃないですか?》と答えた。
そのとき、彼は怪訝な、あるいはうっすら馬鹿にしたような表情を浮かべ、そのまま何も言わずに去って行った。
その後、しばらく(いや、正確に言えば、かなり)して、私たちも腰を上げた。
鎖場はその後も続き、ここが今回の登山で一番、しんどいところだった。
それにしても、あの登山者の人、なぜ、あんな表情をしたのだろうか。
まず、これからも鎖場が続くことを知っていたのか?
それなら、あんな質問をするなど、人が悪い。
あるいは、《もうすぐ鎖場が終わるのなら、なぜ、頑張らないのだ》
という非難だったのかもしれない。
いずれにせよ、関西弁だったあの登山者の質問、今、思い返してみると、かなり棘があったような気がするなぁ・・