事務所ブログ

てくてく旅行記

年の暮れの奈良を歩く④

《輝く阿弥陀より、くすんだ空也が好きだ》

浄瑠璃寺の本堂の前には池がある。

テレビで夜の浄瑠璃寺を放映していた。

池の向こうから本堂を撮影している。

障子は開け放たれ、

闇の中で、ライトアップされた阿弥陀仏が輝いていた。

それは景色としてきれいだった。

さて、京都の六波羅蜜寺に空也上人の像がある。

平安時代の天災や疫病のうち続く京都で

貧窮にあえぐ人々を助けるとともに、

念仏を唱えることを進めた僧である。

この空也は小さくてやせ衰えている。

口から小さな阿弥陀仏が飛び出している。

念仏の《南、無、阿、弥、陀、仏》の6字を表現している。

見たのは何十年も前だが、

この像が、今でも、私の心の中にどかっと座っている。

本当にものすごいインパクトがあった。

金色でもなく、堂々としてもいない。

むしろ貧相というのがふさわしい。

空也証人の人としてもオーラがすごく、

それがこの像に乗り移っているということだろう。

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