今年の夏の旅行は阿蘇山へ③
熊本駅から立野(たての)駅まで約1時間、
熊本を大分を結ぶ豊肥線に乗った。
ローカル線と言えば、陰気くさい色か、
逆に派手で、けばけばしい色に塗られているといイメージがある。
しかし、ホームに停車していたのは渋い赤色だった。
なかなかいい色じゃないかと思った。
気動車なのも気に入った。
ジーゼルの重低音と細かな振動が旅行気分にしてくれる。
ところが、座席に座るとチリチリという音がしているのに気づいた。
ボルトやナットがどこか飛んでいるのだろうか。
窓の下とか、床近くの車体の壁に触ってみたが、
もちろんそんなことでは故障個所がわかるわけもなく、
ましてや、異音がとまることなどもなかった。
発車から30分ほどすると、熊本市街を抜け、両側に田畑が広がる。
窓の外の、少し雲は多いが、それでも青く広がる夏の空を見ていた時だ。
《バシッ、バシッ》という音が、3回ほど連続した。
攻撃的な、鞭で激しくたたくような音だった。
沿線の木の枝が伸びて、走っている列車の窓にあたっているのだ。
運転手には聞こえていないのだろうか。
列車が内から、外から悲鳴をあげている。
このローカル線、大丈夫なのか。