今年の夏の旅行は阿蘇山へ⑳
まだまだしばらくは、と思っていた。
左側の岩を通り越したとき、目の前に周囲の山と広い空が開けた。
まさに忽然という感じだった。
そこが根子岳の東峰の頂上(標高1408.1m)だった。
中央に岩があったが、周囲は土で、ゆっくりと腰を下ろすことができた。
西側には、あの尖がった岩峰、正確には根子岳西峰(標高1394m)が聳えている。
宿の南阿蘇国民休暇村など、下界の景色も360度見えており、
山を登りきったのだという実感があった。
その日の一番乗りだったようだ。
約20分位後に、50代の男性が登ってきた。
地元の人のようだったので、西峰を指して、
《あの峰の上まで登れる道があるんですか?》と聞いてみた。
一言、《さぁ・・》というそっけない返事だった。
実は登ってきた道とは別にもう一本、道があった。
下に向かって降りる道だったが、西峰の方向に向かっている。
持参した地形図(国土地理院:2万5千分の1)には、
西峰への道は記載されていない。
行くか行かないか、若干、迷った。
行けるとしても岩峰の下までだし、地図にも記載がないという、
やらない言い訳をこしらえて、結局、東峰の頂上でゆっくりしてしまった。
当日、台風が近づいていた影響で、天気が急激に変わった。
しかし、日が照っても、雲がかかっても、
西峰は悠然と聳えており、なかなかかっこよかった。